この作品はスピンオフのようなものなので、響け!ユーフォニアムシリーズを見ていないと少し分かりずらいかもしれないので、先にシリーズを見ることをお勧めします。本編とは作画等の違いはあるかなと苦手な方はいるのかなとは思いますが、個人的には内容も良かったので気になりませんでした。ストーリーも深く描かれていてみぞれと希美の2人の関係を童話と重ね、2人の関係を表してあって素晴らしかったです。本編は部活に対しての熱いものがあったりしましたが、この作品は2人心情を細かく描いておりそれも音楽ともマッチしていて良かったと思いました。最初から最後まで見入って涙しながら見させてもらいました、また本編から見直し楽しみたいと思います。20代女性
タイトルが出るところの雰囲気が、昭和40年代のNHKのドキュメンタリー番組のような、冷たい旋律と冷徹な視線のカメラワークで、まるで「現代の高校生吹奏楽部女子生徒の生態記録映画」といった趣で本編がスタートするのがゾクゾクする。実際、理科室がクライマックスの場面に使われますし、標本や実験器具がわりと長時間大写しになったりするので、監督は意識して記録映画風にしているのでしょう。モノローグがほぼ無く(回想シーンは少しある)実際に発した台詞だけで構成されているのもそれを裏付けていて、テレビシリーズとはかなり異なる印象を受けます。かみ合っているようで、かみ合っていなかったが、でも、この先の未来のふたりは未知数なのだろうか?という、見るたびに印象が変化する確定しないリアルさのエンディングが凄い。40代男性
感情がすごく複雑で、希美の立場で見ると切なくもあり悔しくもなるけど、そういった感情の変化が繊細に描かれていて素晴らしいです。冒頭の階段のシーンで分かるとおり、今までは希美が引っ込み思案のみぞれの前を歩くことで、みぞれのことを引っ張っていっているという優越感ではないけれど、どこかでそれが自分の存在意義になっていたと思います。しかし後半で自分にではなくみぞれに音大の推薦の話が来てから、希美の歯車が狂い出すのですが、それに気がつくことなく、みぞれが希美に好きを伝えるシーンが切ないです。一番の見どころは、みぞれが希美の好きな点を色々上げてくれるのに、肝心の希美のフルートが好きという一番言って欲しい言葉がない部分。そのシーンで希美が言葉ではなく表情で感情を表しているシーンが素晴らしく、この作品は言葉以外にも表情、音楽といった部分でも心の演出が素晴らしい作品です。20代女性
開始すぐで、繊細なタッチで描かれる通学路や学校の風景、光や影の表現に引き込まれました。二次元のアニメーションなのに、音の演出と相まって、その空間の空気感まですぐそばに感じられるようでした。学園物を多く手がけている京アニの実力を感じます。ストーリーが独立しているため、響け!ユーフォニアムのアニメシリーズを観ていなくても楽しめます。アニメながら、吹奏楽の演奏の音声の表現も非常にレベルが高く、主人公たちの細かな心境の揺れ動きが音でもしっかりと表現されています。後半、主人公が迷いを断ち切った後のオーボエの音の変化は本当に素晴らしいです。年頃の女学生特有の、嫉妬や依存心などに揺れる感情が、「リズと青い鳥」という可愛らしい作品に絶妙に結び付けられており、特に音楽系の部活を経験したことのある人にはきっと刺さる作品だと思います。30代女性
とにかく映像と音が綺麗だと感じました。まずジャケットの色彩がとても綺麗で、ジャケットに惹かれて視聴したのですが、本編もとにかく色・動きが美しかったです。さすが京アニ、さすが山田尚子監督だと感じました。髪やスカートに注目して見て欲しいです。そして1番感動したのが音です。音楽が題材だから、ということではなく、教室を歩く足音、楽譜を捲る紙の音、本当にひとつひとつが繊細で、本当に綺麗で、おどろきました。あんなに綺麗な効果音初めてききました。ページを捲る音だけを何度も巻き戻したぐらいです。映像が綺麗なので余計際立って作品自体がすごく繊細に感じました。そういう意味で、リズと青い鳥は私の中ですごく印象に残っている作品です。もちろんキャラクターも魅力的ですが、私は童話のお話が好きでした。アニメでは童話を使った演出はよく見ますが、単純に好みなので。(笑)作品の雰囲気と童話という演出がマッチしていたので、最高でした。20代女性
学生時代の友情は卒業してしまうと案外あっさり解消されてしまうもので、何故か長続きしないものではありますが、続きはしなくとも何かが心の中に残るというのが特徴だと思います。出会いと別れによってもたらされる変化が連続して起こり続ける学生生活において、そこで起こる情緒の変化を丁寧にゆったりとしたテンポで描かれたこの作品は、登場人物たちの繊細な心情が儚くもきらめくように描かれています。希美とみぞれはとても仲の良い友達ですが、いわゆる百合ものっぽい雰囲気も幾分ありつつ、かといって完全にそちらにいききってもいないので、比較的多くの方にお勧めできる作品になっていると思います。監督は登場人物の心情描写に定評のある山田尚子さんで、女の子同士の関係を描かせたらやはり山田監督に勝る人はいませんね。30代男性
ユーフォニアムシリーズで度々描かれていた、個々人の才能の差とか、吹奏楽に対する意識の差といったものが一際強く描かれていて面白かったです。見ていてハラハラする危うい人間関係が描かれていき、溜めに溜めてのあの演奏シーンだったので本当に感動させられました。ある種残酷な話だったんですけれど、それをしっかり丁寧に描き切りましたね。みぞれと希美以外のキャラはほとんど出番がなく、この二人の心情をひたすら追いかけていくのも良かったです。今回は最初から映画として作られているので尺の使い方も贅沢と言いますか、キャラクターがずっと喋らないで映像と音楽だけ流れていくようなシーンもけっこう印象に残り、これまで以上に物語への没入感が強くなっていた気がします。30代男性
鎧塚みぞれと傘木希美の深い友情がみえる群像劇テイストの作品展開に引き込まれるものがありました。二人がセッションする序盤シーンは、二人だけの穏やかな時間が流れるよいシーンでした。クールなタイプの鎧塚が本心を吐露するハイライトシーンは、テレビシリーズでは見られないキャラクターの魅力が見えたものでよかったです。複雑な友人関係、人間心理を巧妙に描いていく物語には感心できるものがあります。絵本「リズと青い鳥」のイメージシーンが淡い色彩で描かれるシーンは幻想的な凝った作りとなっていて目立つものがありました。随所に見られるこだわりの作画技術もすばらしいものがあります。黒板や、放課後の机など、キャラクターが映っていないなんでもないシーンに、時の静寂さ、穏やかさを感じもしました。とにかく見せ方がうまい作品だっと思います。30代男性
メインどころを演じたのは東山奈央さん、種崎敦美さんら演技版の女優陣たちでしたが、声での芝居に頼りすぎない、作画のみで見える絵の芝居にも注目できるすごい仕掛けの作品でした。感情の起伏に合わせてキャラクターの挙動が変化するのがよく分かります。手の動き、瞳の動きでもキャラクター心理をみせることを可能としており、高い作画技術と表現力がある作品だと思いました。テレビシリーズではそれほどピックアップされず、加えて無口なために何を考えているのかよく分からなかった鎧塚みぞれの真意にかなり迫る展開が見どころとなり、意外な設定だったと思います。単なるスピンオフではなく、他作品を知らずともこれ一本のみで別個に楽しめる奥深いストーリーとなっていました。30代男性
高校の吹奏楽部を舞台とした青春物語なので、演奏や部活動自体の物語を楽しむことができるものです。その中で最も特筆すべき点は、今回の主役である上級生たち女子グルー王の関係性をかなり濃く描いていることにあったと思います。下級生達に注目したテレビシリーズとは焦点が異なり、深く人間心理に突っ込んでいくシリアス展開にしてもかなりテイストが違ったものだと思います。より深き人間ドラマを描いた大人向けなストーリーだったと思います。登場人物同士が、ただ友情で繋がるのではなく、どこか依存めいたものも見えたりました。そこから抜けて個人が個人の意志で確かな進行方向を決めていくという自立の物語でもありました。音楽、作画においてコレほどまでにないくらい美しい出来だったと思います。30代男性